リノベーション工事 工事進捗 窓リノベ
性能向上リノベーション 上条町の家②
2025/01/10
上条町の家
面積の大きな元農家住宅を、長く快適に住み継ぐための性能向上リノベーション工事です。
今回は、外回りの工事内容をまとめます。
■住み継ぐリノベーションの要、外周部
外周部は、言葉の通り 外壁面を主とした屋外側から行う工事内容のこと。
耐震や断熱といった住宅の「性能を向上させる」ためには、外周が担うウエイトはとても大きいです。内部だけで完結させる断熱工事、耐震工事もあるにはありますが、素直な考え方で建物の性能レベルを向上させるには、外周部・外壁側の工事は必須項目です。
そして、
建物性能を上げて、
建物がその地に長ーーーく存在し続けられるものになったのならば、
住宅の「顔」となる外観が、その家に暮らす人と周辺地域に与える影響もおのずと大きくなります。
そんなこんな重要なコトが盛りだくさんな外周部。
丁寧に進めていきます。
残す躯体だけの状態(スケルトン)にしてから、スタートです。
■柱頭柱脚金物
建物の耐震性を上げる際、
耐力部材となる「筋交い」や「耐震面材」などを施工します。
主に耐力部材を施工する箇所の柱と梁、柱と土台の接続箇所に「柱頭柱脚金物」と呼ばれる金具を取り付けます。目的は、耐力壁が地震や風に抵抗したときに、柱を引き抜こうとする力が発生しますので、その引き抜き力に抵抗するためのものです。引き抜き力の計算をしてから、適材を適所に取り付け。
■基礎
続いて基礎。
既存住宅は石の上に乗っているだけの基礎でした。
建物を地面に固定するため、主に耐力壁箇所の下に新しく布基礎を作ります。
型枠を外した基礎。
既存壁の下にコンクリートを打設する都合上、立ち上がり部分が厚くなります。
今回は外周部に付加断熱として厚さ60mmの断熱材を施工するので、仕上がってしまえばこの厚みは違和感なく納まります。
■耐力面材
ちょっと長めの前置きです。
耐震計算を行った内容に基づき、耐力部材を施工します。
改修では主に「上部構造評点」という数値で耐震性能を評価します。
評点1.00以上で、現行基準クリアとなります。
この建物も1.00をきちんとクリアする計画です。
ただ、私たちの基本スタンスとしては、可能ならば評点1.5以上の性能。
今回の住まい、延床面積80坪を超える大きな建物です。
80坪超えの家に、たくさん耐力壁を計画すればその分費用も掛かります。
なおかつ内部には歴史ある大きな和室が連なり、それらは「現状のまま残したい範囲」。
今回は「評点1.00以上」の計画が落としどころとなりました。
ただ、歴史ある建物を残す決断をされたお施主様。
その気持ちに対して可能な限り、予算に無理のない範囲で良い性能にしたいと考え、耐力面材と躯体の設置部分に「制振テープ」というものを初採用しました。
面材耐力壁は、面材を固定する釘1本1本が力を負担しますが、その力を低減するのがこの制振テープ。
繰り返しの地震に対しても貢献します。
さらには、建物の気密性能向上も期待できる。
ちなみに面材はハイベストウッドという木質系材料を選定。
耐シロアリの防蟻成分を含む優秀な建材です。
全体に面材が張り終わるとこんな姿になります。
■付加断熱
面材が張り終わると、その上から付加断熱材を施工します。
壁の中に詰めるのが メインの 充填断熱。
そのプラスαの要素という位置づけのため「付加」断熱と呼ばれます。
弊社標準の旭化成ネオマフォーム。厚さは60mm。
■透湿防水シートの施工
万が一、外壁の下に雨水が侵入しても
建物に雨水を侵入させない役割を担うのがこの透湿防水シートです。
デュポン社のタイベックという高耐久製品が標準です。
■開口部
断熱の要となる開口部=窓(サッシ)です。
YKKAPのAPW430という樹脂フレーム&トリプルガラスの高断熱サッシ。
新潟での暖かい住まいには必須のアイテムです。
国の補助金事業でも大きな還元率があります。
■外壁
外壁材は、
1階がSGLガルバリウム鋼板。
2階が新潟県産の杉材にウッドロングエコという薬剤を塗布したものを選定。
開口部の配置にメリハリを持たせたうえで、高耐久でコストパフォーマンスの高い2種類の素材を用いて、建物のボリューム感を活かした重厚感あるコーディネートを構成。北側の一部、小さく飛び出た切り妻屋根部分は、この建物の歴史でありチャームポイント。SOLIDOという経年変化を楽しめる材料を選択しました。
足場が取れた姿に、お施主さまにも喜んで頂けて一安心。
地域に馴染みながらも存在感を放つ「顔」がつくれたのではないかと思います。