リノベーション

元農家の歴史を次世代へ繋ぐ家

【After】生まれ変わった2階リビング。主役は丸太梁。床はチーク、天井はラワンベニヤの柿渋塗装として、「木を面で見せる」コーディネート。

【After】東側面は横長の窓を連ねて、空間に伸びやかさを。コンパクトキッチンの脇にBOX形状のパントリーを据えて利便性に配慮。

【After】キッチンとなりのカウンターは細長いテーブルが2つ組み合わさったもの。使用する人数によっては幅900mmの大きなテーブルとしても使用可能。真鍮製のペンダントライトは可動式として、テーブルの動きに合わせることができます。

【After】半外空間となるインナーバルコニー。他の室内が安定した温度環境だからこそ、外気温を感じられる居場所が気持ちよく感じられます。

【After】8帖の洋室。耐力壁となる壁が中央にありますが、4帖づつの個室とするときにはちょうど良い位置。

【After】2階ホール。内装は施主様DIYによるダークブルーの輸入塗料仕上。無骨な構造材と組み合わさってヴィンテージ感のあるコーディネート。

【After】1階ホール。天井と建具、濃い色調の箇所は昔からの物。新しい建具はデザインと寸法を既存建具に寄せて計画。

【After】玄関わきの板戸を開け放つと、縁側に続きます。この板戸は断熱材入りで、冷暖房時期には閉めて壁と一体化させます。

【After】縁側の突き当たり。外した飾り障子をディスプレイ。

【After】水屋をイメージした手洗い場。カウンター材には建物の古材を再利用。

【After】洗面スペース。

【After】1階の居間。天井にはスリット状の杉材を使用。

【After】玄関上部は吹抜けに。断熱性能が上がったからこそ吹き抜けでも快適性を損ないません。

【After】玄関上

【After】吹き抜けの手摺には、既存建物の欄間を再利用しています。

【After】元々ある素材を活用

【Before】外観

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【Before】

【物件DATA】
築年数 :84年(竣工時)
延床面積:284.16㎡(約85.95坪)
建築面積:153.05㎡(約46.29坪)


【性能値 等】
■耐震性向上
 Iw値 上部構造評点
 改修前 0.10 → 改修後 1.01
 防腐防蟻処理:ホウ酸系(ボロンdeガード)

■断熱性向上      
改修前
開口部 :アルミフレーム単板ガラスサッシ  
天井断熱:無断熱
     2階一部のみ袋入りグラスウールt50
壁断熱 :無断熱
床断熱 :無断熱、1階一部のみXPSt30
改修後
開口部 :YKKAP APW430
     (樹脂フレームトリプルガラス)
     ※非冷暖房室は YKKAP エピソード
天井断熱:セルロースファイバーt350
壁断熱 :1階アクリアマット14Kt100充填
       ネオマフォームt60付加(外張)
     2階マグイゾベールコンフォート24Kt120充填
       ネオマフォームt60付加(外張)
床断熱 :ミラフォームMKSt55+60
   ※既存XPSt30充填範囲は追加で防湿層付HGWt60


  


【コンセプト】元農家の歴史を次世代へ繋ぐ家

■経緯
お施主様の お住まいは、市街化調整区域に位置しており、農家を営まれていた先代様が建てた築84年の「農家住宅※」でした。
※農家住宅:通常、市街化調整区域で家を建てるには開発許可が必要です。しかし、農業・林業・漁業を仕事としている人は許可不要で、農林漁業のための建築物として建てた自宅のことを指します。
内部には190mm角という大きな柱が要所にあり、小屋裏には現代ではまず入手できない様な大きさの立派な丸太梁で構成されていました。これまでに数回のリフォームを行いながら、お施主様が大切に住み継いでいらっしゃいました。

■ご要望
・丸太梁など、歴史を感じられる要素を室内にあらわす
・壁に使用されている土壁は可能ならば残したい
・仏壇のある1階和室(10帖×2)は、可能な限りそのまま残したい
・大きな家で広々と暮らしたい(趣味のコレクションなどにスペースが必要、大きな家に慣れていたので小さな家には住みたくなかった)
・冬暖かく、夏涼しい家 
・2階にも水廻り(トイレ、洗面、ミニキッチン)を設置して二世帯住宅化すること
・階段の位置及び形状の変更(既存:上がり降りしにくく、荷物の上げ下ろしが困難)

■設計方針
①古い建物をこれからの時代に合わせて性能向上(性能設計・施工)を行うこと、②築84年の建物を現代の暮らし方ができるようにアップデートすること、③古いモノの豊かな質感を活かした空間になる様にコーディネートすること。これら3つの視点を掛け合わせて、大工さんを始めとした各職方と1つの形にしました。

1階は間取りの大幅な変更は行わず、耐震性や断熱性向上を目的として派生した工事内容のみとしている。2階は、暮らし方に合わせて大幅な間取り変更を行った。ただし前提条件として、南側面には隣家様が隣接しているため、南側に大開口サッシやLDKなどの居心地を求める部屋を配置する事が最善ではなかった。そのため北東側に約20帖のLDKを配置。屋根勾配に沿った勾配天井として、丸太梁をダイナミックに見せる空間とした。愛煙家のご主人のためにLDKの隣には半屋外空間(非断熱空間)となるインナーバルコニーを配置。あらわした丸太梁にハンモックも設置予定。

1階ホールの天井は、昔、囲炉裏があったときの名残りですすけてまっくろ。解体後にその様子を見たお母さまが「これ出したい!」と、急遽計画変更をしたことも良い思い出です。(色んな納まりが大変でしたが。笑)


Before

After

Before

After

Before

After

Before

After

Before

After

Before

After

Before

After