リノベーション
元農家の歴史を次世代へ繋ぐ家
【物件DATA】
築年数 :84年(竣工時)
延床面積:284.16㎡(約85.95坪)
建築面積:153.05㎡(約46.29坪)
【性能値 等】
■耐震性向上
Iw値 上部構造評点
改修前 0.10 → 改修後 1.01
防腐防蟻処理:ホウ酸系(ボロンdeガード)
■断熱性向上
改修前
開口部 :アルミフレーム単板ガラスサッシ
天井断熱:無断熱
2階一部のみ袋入りグラスウールt50
壁断熱 :無断熱
床断熱 :無断熱、1階一部のみXPSt30
改修後
開口部 :YKKAP APW430
(樹脂フレームトリプルガラス)
※非冷暖房室は YKKAP エピソード
天井断熱:セルロースファイバーt350
壁断熱 :1階アクリアマット14Kt100充填
ネオマフォームt60付加(外張)
2階マグイゾベールコンフォート24Kt120充填
ネオマフォームt60付加(外張)
床断熱 :ミラフォームMKSt55+60
※既存XPSt30充填範囲は追加で防湿層付HGWt60
【コンセプト】元農家の歴史を次世代へ繋ぐ家
■経緯
お施主様の お住まいは、市街化調整区域に位置しており、農家を営まれていた先代様が建てた築84年の「農家住宅※」でした。
※農家住宅:通常、市街化調整区域で家を建てるには開発許可が必要です。しかし、農業・林業・漁業を仕事としている人は許可不要で、農林漁業のための建築物として建てた自宅のことを指します。
内部には190mm角という大きな柱が要所にあり、小屋裏には現代ではまず入手できない様な大きさの立派な丸太梁で構成されていました。これまでに数回のリフォームを行いながら、お施主様が大切に住み継いでいらっしゃいました。
■ご要望
・丸太梁など、歴史を感じられる要素を室内にあらわす
・壁に使用されている土壁は可能ならば残したい
・仏壇のある1階和室(10帖×2)は、可能な限りそのまま残したい
・大きな家で広々と暮らしたい(趣味のコレクションなどにスペースが必要、大きな家に慣れていたので小さな家には住みたくなかった)
・冬暖かく、夏涼しい家
・2階にも水廻り(トイレ、洗面、ミニキッチン)を設置して二世帯住宅化すること
・階段の位置及び形状の変更(既存:上がり降りしにくく、荷物の上げ下ろしが困難)
■設計方針
①古い建物をこれからの時代に合わせて性能向上(性能設計・施工)を行うこと、②築84年の建物を現代の暮らし方ができるようにアップデートすること、③古いモノの豊かな質感を活かした空間になる様にコーディネートすること。これら3つの視点を掛け合わせて、大工さんを始めとした各職方と1つの形にしました。
1階は間取りの大幅な変更は行わず、耐震性や断熱性向上を目的として派生した工事内容のみとしている。2階は、暮らし方に合わせて大幅な間取り変更を行った。ただし前提条件として、南側面には隣家様が隣接しているため、南側に大開口サッシやLDKなどの居心地を求める部屋を配置する事が最善ではなかった。そのため北東側に約20帖のLDKを配置。屋根勾配に沿った勾配天井として、丸太梁をダイナミックに見せる空間とした。愛煙家のご主人のためにLDKの隣には半屋外空間(非断熱空間)となるインナーバルコニーを配置。あらわした丸太梁にハンモックも設置予定。
1階ホールの天井は、昔、囲炉裏があったときの名残りですすけてまっくろ。解体後にその様子を見たお母さまが「これ出したい!」と、急遽計画変更をしたことも良い思い出です。(色んな納まりが大変でしたが。笑)

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