リノベーション工事 工事進捗

調査と改修計画 ~秋から冬へ~

2023/12/21

雪が積もり始めた長岡市内

今年は「暖冬」との予報らしいですが、「少雪」とは言ってくれない天気予報。
温暖化はもちろん危惧すべきですが、雪の少ない過ごしやすい冬を期待してしまいます。
どうか穏やかな冬になって欲しい。。(痛切)



■既存住宅の調査
さて本題です。
私達の行うリノベーション工事及び計画では、既存(今の)建物の調査は、主に2つの段階に分けて行っています。

【住み継ぐ家 パンフレットより】



1,事前調査

お問い合わせを頂いてから、ご提案の前に実施する調査です。
■目的
ご提案プラン作成 と 概算見積作成 の為。
■内容
住宅の基本情報の確認を行います。
「目視」で、「安全」に、「費用の発生しない範囲」で実施。
間取りの確認(平面図)、
屋根形状、内外装の仕上げ素材の確認、
設備機器の確認、
基礎の外周部状況、
サッシの仕様など断熱仕様
建物の周辺環境の確認 などなど。

※このとき、既存図面があれば参考として確認しますので、「あるよ!」という方はご用意いただけると、事前調査がよりスムーズに行えるのでありがたいです。
これらの調査結果と、
お客様のご希望(間取りやご予算、ライフスタイルなど)をもとに、どんな施工方法が適切か、
改修範囲はどこまで直す必要があるか、
ご提案プランを組み立てて、
ご希望とすり合わせながら
プラン&概算見積を作成します。



2,詳細調査

概算見積及び設計契約ののち、行う調査です。
■目的
基礎や土台、柱、梁など主要構造部の調査
■内容
小屋裏(小屋組)の調査、
床下(基礎内部、木構造材部分)の調査、
シロアリの食害や雨漏れなどによる腐食があるか、
基礎鉄筋有無の調査、などを行います。

世間では、住宅調査の事を「インスペクション」という言葉でひとくくりにしがちですが、
住宅の状況、実施したい工事内容、費用や手間の発生度合で、実施する調査内容は変わってきます。
そして何より、「既存の住宅の状況」で変わってきます。

「事前調査」と「詳細調査」、ざっくり説明するとこんな感じです。



■実際の調査

完成見学会に来ていただいて、お打合せを重ね、事前調査を行いました。

【深い軒の出を有した立派な住宅】

建物はもともと「農家住宅」として建築された建物。
事前調査はすでに済んでおり、現在はプランと概算見積作成中。
延床面積は、一般的な住宅30~40坪程度と比較すると、このお住まいは 約倍の大きさ。
敷地周辺環境も少し複雑。
築年数が経っていることも影響している様子。
「建物面積」と「築年数」の値が大きくなると、
比例して 既存を解読する時間・プランの計画もやや難解に。。。


このお宅では、一部仕上材が張られていない状態で小屋組み と 躯体がある程度確認できる状況でした。


また、着工目安時期を考慮すると、詳細調査がこの冬の期間がとなってしまう。
イレギュラーですが、活かす予定の既存屋根の調査を降雪前に実施。
瓦屋さんと一緒に劣化具合や破損状況をチェックしました。

【東側屋根面越しに南を望む。西側面は夜露がまだ乾いていない】

築年数は80年以上ですが、本屋根に使用されている安田瓦は約40年ほど前の製品である事が判明。部分的な破損箇所の補修と点検を行えば、一次防水層としてまだまだ使用可能。瓦屋さん曰く、安田瓦も最近の製品ほど品質が高いが、あまりにも昔のものだと経年劣化があり継続利用不可との事。

【瓦を浮かせて状況を確認】
【内部から見た屋根下地状況】

屋根の下葺き材は、木(おそらくサワラ)をスライスした破片を重ねて葺いている「トントン葺き」と呼ばれるもの。このおうちでは、そのスライス具合が厚く、「おそらく手割りしたトントン葺き」である様。薄いものよりも防水性が高いとされています。
この下葺き材は、二次防水層。
現代では防水ルーフィングが主に使われている箇所ですね。昔だから可能だった手間とお金の掛かった仕様でしょう。

ここまで診ることで、やっと「活かせる!良かった!」と私は安堵できたのでした。

喜んで頂ける「暖かくて、積み重ねた時間の美しい家」を目指して、計画は進行中です。