リノベーション工事 工事進捗 緑道を望む住まい

リノベ住宅 緑道を望む住まい 施工ダイジェスト②外装計画

2023/03/15

■既存住宅の 調査から わかる事

リノベーションでは、新築とは違い、
「58年間、この建物が、この立地環境で、どんな影響を受けてきたか」
が痕跡として残されています。
解体工事前に劣化状況調査を行い、可能な限り紐解きました。

サッシ廻り雨染があったのは2階の北西側、北東側の窓のみ。

土台に雨染みがあったのは、北西側のみ。
おそらく、過去に開口部まわりから伝わって侵入したであろうと推察。



■周辺環境からの建物への影響

周辺環境は、
・敷地北側に市の緑道があり、建物との間が開けている。
 その緑道を北東に200mほど進むと田んぼが広がる。
・その他の方位は宅地。
・その結果、緑道に沿うような形で北東から南西へ向けての風向き。
 = 緑道側から、風を伴う雨や雪が、住宅へ叩きつけている 周辺環境であった。 と予測しました。

※補足
当エリアとしては、主として「北西から雨風が吹く」言われます。
(通称弥彦風と言ったり)
しかし、実際には近隣にどんな建物があるか等の影響で、本当の風向きは物件ごとに変わります。



■周辺環境への配慮(景観性)
この建物は、建築基準法上の接道は南東側のみだが、
北西側は緑道に面しているため、「景観的には角地」
なので南東側・南西側・北西側、3方向が周囲から良く見える(視認されやすい)環境。

「暮らすための家」 ではあるが、
「街の一部としての家」 として影響や役割が高い立地でもある。
地域の景観に調和し、緑道を歩く人や、通りを行き交う人や車にとって
「きれいな風景」の一部になる必要があると考えました。
そうなると、ほぼすべての外壁面が適当な窓の配置で済ませられないので、
計画が少し大変になってしまいますが(汗)



■完成建物外観

南東側
南西と北西側
北西側
北東と北西側

建物上部は、赤身勝ちの杉板に、オスモ&エーデル社の外装木部用塗料 パティナ色で着色。
パティナはグレー系の色味。
杉の赤身と合わさって、グレージュの様な表情になりました。
杉板が緩やかな経年変化を辿って、灰色化(グレーイング)してくれることを期待しています。
縦張りではなく、横張としたのは、建物のシルエットを活かすため。
北東から雨風が吹く環境で、木製外壁を横張するので、施工には可能な限り保険的な配慮をしました。

  • 開口部まわりには、鋼板役物をまわし、雨水が外壁下に入っても通気層で排出
  • 外壁の継ぎ目になる箇所の下地は、胴縁ではなく貫材を使用
  • 外壁の横継ぎ手はナナメにカット など

下部は、ガルバリウム鋼板の少しくすんだホワイトを選択。
ガルバリウムは雨が当たるところならば、
付着するチリが常に流されるため、より耐久性を持続させます。
また、白系の外壁として、景観的に緑道の緑が活き活きを見えるように。

各方位の開口部も、バランスよく。
もちろん内部空間に求められる役割を満たし、耐力壁のバランスも考えながら。



木々の緑が芽吹くころ、
建物と周辺が合わさって、
行きかう方々の目を楽しませられたなら幸いです。